2026年2月21・22日で
石川・山中温泉の宿、
花紫に宿泊しました。
大聖寺川の渓谷沿いに立ち、
古くからの日本旅館の趣きを感じさせつつ、
現代の洗練された美意識が共存する、
加賀の宿、花紫。
客室だけでなく、館内全体に
歴史と現在が融合している、
わびさびを感じさせてくれます。
また30分ほどですが、チェックアウト後に
花紫の周辺を散策しました。
この記事では花紫の館内と周辺観光を
たくさんの写真と一緒にご紹介します。
花紫に到着、山中温泉のしんとした空気へ

花紫があるのは、
歴史ある旅館やホテルが並ぶ山中温泉。
開湯1,300年を誇る
古くからの温泉地です。
まずはエントランスから
花紫の中へ入ってみます。
エントランス
明治35年、花紫の前身である山田屋は
現在の川沿いではなく、
山中の街で創業しました。

その後、花紫へと屋号を変え、
現在の川沿いに移りました。

宿泊の1週間前には大寒波が来ており、
雪が残っているかと思いましたが、
エントランス前の庭園には
少し雪が残っているくらいでした。

建物に入っていくと
広い空間に一幅の絵画。


しんとした静けさの中に
足を踏み入れます。
ちなみに喫煙所が
入り口脇に設置されていますので
愛煙家の方はこちらで。

フロント
エントランス及びフロントがあるのは
建物の4階になります。

フロントの脇にある樋の向こうは
茶房になっています。

したたる水の音に
思わず耳を澄ませます。
ロビーラウンジ
チェックインはこちらの
ロビーラウンジで。

茶房のお茶も
ロビーラウンジで楽しめます。

ロビーラウンジからの景色です。

眼下には、
大聖寺川が静かに流れていました。
冬なので、木々は葉を落としていましたが、
これはこれで一興。

雪が降れば真っ白に、新緑や紅葉の季節は
また別の表情を見せてくれるそうです
ロビーラウンジではたくさんの色を使わず、
色みをおさえた、落ち着いた美しさが印象的。


冬ならではの、長くのびた影も
織り込み済みの美しさなのかもしれません。

花紫の静かな時間|本とお茶と余白
花紫には、心静かに過ごせる
茶房とライブラリーが設けられています。
茶房
フロントやロビーと同じ階、4階に茶房があります。

茶房は、2022年夏にオープンしました。
茶房の営業は9:00から17:30がラストオーダー、
事前予約も可能とのこと。
茶房全体の様子を動画でどうぞ。
日本の茶室を現代に表現した空間です。
2日目の朝食後、茶房に立ち寄りました。

ひとことにお茶と言っても、
たくさんメニューが用意されていて迷います。

茶房専門のスタッフが
目の前でお茶を淹れてくれます。
スタッフの方とお話ししながら、
格式張らずに、気軽にお茶をいただけます。
夫はオリジナルブレンドティー(焙) と
セットで梅ゼリーをオーダー。

梅ゼリーはショップでも販売されていました。
梅を丸ごと1個使った贅沢なゼリーです。
焙ブレンドのお茶は
加賀棒茶、ローズマリー茎、ペパーミント。
香ばしさもありつつ、
すっきりさわやかな後味。
私は、紅ほっぺのいちご大福に、
オリジナルブレンドティー(煎)を
いただきます。

煎茶、ミント棒茶、レモンバーベナの
煎ブレンドは、清涼感と柑橘の香りが印象的でした。
オーダーが入ってから作る
できたてのいちご大福。


できたての繊細な求肥が
いちごとあんこを引き立ててくれます。

秤に分銅をのせて、
茶葉の量を計ってらっしゃいました。
理科の実験を思い出し
懐かしくなります。
お茶はひと急須につき、
3煎3杯いただけます。
2杯目のタイミングで
生落雁をいただきました。

夫は前日も茶房へ来ていて
2回目だったので、
加賀棒茶のメレンゲクッキーも
いただいていました。

その他、アイス最中、栗ぜんざいとのセットも
用意されています。
ちなみにこちらは
夫が1日目に茶房でいただいた、
バタバタ茶といちご大福。

夫からきいた話によると、
先が二つに分かれた茶筅に
塩をつけて点てるお茶のとのこと。
農作業の塩分補給として
飲んだのが始まりだそうです。
花紫でいただけるのは
日本茶だけではありません。

抹茶ビール、抹茶ジントニック、
煎茶ジントニック、加賀棒茶ハイボール、
和紅茶加賀梅酒などのアルコールもあります。
茶房ならではのラインナップ。

花紫の茶房でお茶をいただいて、
心地よい時間を過ごしたことで、
家でもお茶をいただくことが
習慣になりました。

花紫の茶房では
和のアフタヌーンティーも楽しめます。
一人6,000円で
前日18時までの予約が必要です。

花紫の茶房では、
コーヒーはありません。
お茶を愉しむために、
コーヒーの香りは強いので
あえて用意していないとのことでした。
そのおもてなしも印象的でした。
ライブラリー
茶房と同じく4階に
ライブラリーがあります。

ライブラリーの様子を動画でもどうぞ。
花紫のライブラリーでは、
地元に関する本がたくさん。


お茶に関する本も置いてありますね。

じっくり本に読み入ってる方が
いらっしゃいました。
花紫ならではの資料が
置いてあるようでした。

興味深い本との出会いも
旅の醍醐味ですね。

ライブラリーはアート空間でもあります。

地元の作家さんの作品に囲まれて
静かな時間を過ごすのもいいかもしれません。

本もアートの一部のような
心豊かになる空間です。

ライブラリーの外に
戸棚が置いてありました。

並んでいるものひとつひとつに
花紫の日本美を感じさせてくれます。


花紫の湯にほどける
花紫には2か所の温泉大浴場があります。
客室のお風呂ももちろんいいですが、
大浴場の大きな湯船につかっていると、
心も広がっていく感じがします。
展望露天風呂「ひらひら」
最上階7階に位置する
展望露天風呂、ひらひら。

黒谷橋から花紫を見上げると
屋上階に木々が見えます。
ここが展望露天風呂です。

撮影禁止のため画像がありませんが、
内湯と外湯があります。
女湯は内湯、外湯それぞれ3、4人が
入れるくらいの広さと感じました。
とても広い大浴場という感じではないです。

内湯はひのき風呂で
周りは全面ガラス張りになっているため、
内湯でありながら
露天風呂に入っている気分を味わえました。
外湯の露天風呂は岩風呂で、
鶴仙渓からの静かな風を感じながら、
ゆったりと山中のお湯に包まれて
静かな時間が流れていきました。
こちらは展望露天風呂のお隣の
アートギャラリー。

水分補給のお水も置いてあり、
湯上り処としても一息つける空間です。


大浴殿「春夏秋雪」
花紫には
2階にも大浴場があります。
大浴殿「春夏秋雪」です。

利用していないので、
中がどんな感じか分からないのですが、
内湯のみがあり、
12:30-翌 10:30の利用が可能で
夜中でも入れるのはうれしいですね。

湯上り処は、光を落とした
しっとりなごみ空間でした。


旅の余韻を持ち帰る|花紫のショップとアート
花紫には、宿を離れても
旅の香りを持ち帰れる場所があります。
ショップ
ショップには、地元・石川の
工芸品や食品が並んでいました。
花紫オリジナルの品も
たくさん取り揃えており、
宿で出会ったお茶の時間や食の余韻を
自宅に持ち帰ることができます。

品物が美しく並んだ様子は
ショップというよりギャラリーのよう。
見ているだけでも
楽しい時間になります。

お茶
茶房もあるだけあって、
お茶のラインナップは充実しています。
石川県産の茶葉や、
花紫オリジナルのブレンドが揃っています。
こちらは、加賀棒茶。

一般的なほうじ茶が
茶葉を焙煎することが多いのに対し、
加賀棒茶は茎を焙じるのが特徴です。
茎を飲むのでカフェインが少ない
加賀棒茶は安心感があります。
食事でもだしていただき、
澄んだ琥珀色、芳ばしい香り、
すっきりした味わいが印象に残りました。
こちらは和紅茶。
渋みが少なく、ほんのり甘みがあるのが特徴。

やぶきた茶。

茶房でもいただいた
花紫オリジナルブレンド。

ブレンドのベースが
煎茶、和紅茶、ほうじ茶とあります。
茶入り玄米茶に黒豆を合わせた、大福茶。

新春に一年の無病息災を願って、
飲んだことが由来の、縁起がいいお茶です。
花紫の味を、ご自宅で
花紫オリジナルの食品も多数。
10種類入っている、プレミアムクッキー。

こはく糖は、お着きのお菓子でいただき、
美しさに感動しました。

お着きのお菓子として、登場しました。
チェックインの様子はこちらの記事でどうぞ。

朝食でいただいたものもショップで買えます。

海苔佃煮、はちみつ梅、
ちりめん山椒、胡麻柚子ドレッシング。



お出汁やこしひかりのお米もありました。


朝食のデザートにいただいた
加賀棒茶カヌレも売っています。

朝食で気に入ったも花紫の味を
おうちでまた楽しめますね。
ショップの奥には冷凍庫が。

ジェラートでした。
種類がたくさんで目移りします。
加賀棒茶、能登大納言小豆、
五郎島金時、能登塩など、
地元に根ざした素材のジェラートたち。

山中温泉のの代表銘菓、
娘娘(にゃあにゃあ)万頭入りのミルク大福
のジェラート。

もちろん
娘娘万頭そのものも置いてありました。

娘娘(にゃあにゃあ)は加賀ことばで娘さんを意味し、
こしあんを包んだ小判型のおまんじゅうには、
加賀美人の上品さを重ねた思いが
込められているそうです。
黒糖と味噌がほんのり香る、
やさしい甘さのおまんじゅうでした。
季節のお取り寄せ
レジカウンターでは
季節限定のお取り寄せも紹介していました。

花紫を訪れたのは1月の冬場でしたので、
加能蟹や加能蟹の炊き込みごはん、
自家製からすみとからすみ蕎麦セットなど
石川の旬の食材を楽しめます。
暮らしに残る器と工芸
日々の暮らしで使うものを
旅のおみやげにするのもいいですね。

器や香りのアイテムが並んでいます。
山中漆器のお椀や湯呑。
花紫の食事でも手にしました。

山中漆器は、ろくろで木地を挽くという
高い技術で知られる山中温泉の伝統工芸です。
地元の職人さんが
一点一点丁寧に作った器です。

木目の美しさや木の温もりを感じます。
旅の余韻を、日常に落とし込める
おみやげですね。
客室にあった欅のトレー。
鍵を置くのに使っていました。

花紫オリジナルのお香や
作家さんのお香立て。

たまたま私の誕生月だったため、
夕食の際、お香をいただきました。
旅の記憶が香りでよみがえります。
こちらは数量限定の
オリジナルお香&お香立てセット。

創業123年、リニューアル3周年記念で
作られたそうです。
貴重な伽羅を使ったお香のため、
お値段は88,000円。
九谷焼のおちょこの数々。

夕食の際、このグラスおちょこで
蟹懐石ペアリングを愉しみました。
花紫のお食事の様子はこちらからどうぞ。


地元の作家作品
地元の作家の作品も
たくさん並んでいました。

売り切れや入れ替わりもあるでしょうから
気になったら買っておくのが吉です。
画像を並べておきます。





木のワイングラス。

錫の酒器。

アート作品も多数、並んでいました。



これは私が自分のおみやげに買ったものです。


加賀棒茶、和紅茶、大福茶と
こはく糖、カヌレを買って帰りました。

これらを家でいただいていると、
旅の続きをしているようです。
旅の記憶を、家の中に小さく残せる。
花紫のショップは、
そんなおみやげが見つかる場所でした。
ちなみに、
オンラインショップもありますので
気になる方はのぞいてみてください。
▶花紫 オンラインショップ

アートギャラリー
4階フロントの向かいに
小さなギャラリーがあります。

期間限定で個展が開かれています。

花紫のオーナーはアメリカで
アートの勉強をされた方で、
石川の文化を知ってほしく、
地元の作家や工芸を紹介しているとのこと。
ギャラリーは1,2か月で入れ替わり、
数多くの作家を紹介しています。
私たちが宿泊したときは
石川県出身の彫刻家・大村大悟さんの
作品を展示していました。

お米一合がちょうど収まる米びつ。

日々に溶けこむ、実用性のあるアートですね。
客室もですが、館内全体にも
アートの香りがただよっています。

館内が全体的に装飾が少なく、
アートを際立たせている感じがします。
厳選されたものだけで調和する
静かな空間。
心を満たしてくれるのは、物の多さではない、
と改めて感じました。
花紫のまわりを、少し歩く
花紫をチェックアウトした後、
送迎していただくまで、
30分ほど時間がありましたので、
花紫の周辺を歩いてみました。

芭蕉にも詠まれた伝統の温泉地で、
景勝地・鶴仙渓に面していて、
四季折々の自然の美しさが楽しめます。


黒谷橋
花紫の客室のテラスから見えた
黒谷橋(くろたにばし)。
サスペンスドラマの撮影でも使われるそうで、
歩いて渡っていけば、温泉街に着きます。

黒谷橋は、歴史の重みを感じさせる
アーチ型の石橋です。
もともとは木造の橋があったそうで、
現在の橋は昭和10年に架けられたもの。

渓谷に静かに溶け込むような
落ち着いた、たたずまい。

鶴仙渓には、上流のこおろぎ橋、
中ほどのあやとりはし、
そしてこの、下流の黒谷橋という
個性の違う3つの橋があります。

その中でも黒谷橋は
特にクラシカルな趣の橋です。

黒谷橋から見た、花紫。

黒谷橋から見た、鶴仙渓の景色。

鶴仙渓の景色を動画でもどうぞ。
松尾芭蕉が「行脚のたのしみここにあり」
とうたった風景が残っています。

芭蕉堂
黒谷橋のたもとから、遊歩道が伸びています。

芭蕉堂は、鶴仙渓遊歩道の
南端近くにたたずむ小さなお堂。


明治43年に全国の俳人によって建てられ、
松尾芭蕉が祀られています。

木立の中に静かにたたずむ姿に、
芭蕉の気配を感じました。
東山ボヌール
遊歩道を横切る小川にかけられた
小さな橋を渡ります。

進んでいくと
森に包まれひっそり建つ、
レトロなカフェ、
東山ボヌールの入り口が見えました。

東山神社の鳥居の内側にあり、
芭蕉堂の向かいに建っています。

残念ながら時間がなく
立ち寄れなかったのですが、
看板にはビーフシチューセットや
ケーキの文字が見えました。

散策の途中にほっと一息するのに
よさそうですね。
この付近では20代くらいの方が
グループで散策しているのをよく見かけました。
ちょっと意外でした。
シルクロ陶芸体験工房
花紫から黒谷橋を渡り
坂を上っていくと、
「九谷焼 陶芸体験」の看板が見えました。

シルクロ陶芸体験工房です。
九谷焼窯元きぬやの2階にあり、
電動ろくろや上絵付けなどの
九谷焼体験ができるとのこと。

散策の途中に、
山中温泉の伝統工芸にふれられます。
近くには懐かしいゲーム機を
置いているお店がありました。

喫茶店のように見えましたが
営業はしていないようでした。
まとめ|花紫に息づく、加賀の美意識
以上、加賀・山中温泉の花紫の館内と
周辺観光の様子をお伝えしました。
加賀藩は、豊かな外様大名として
幕府に警戒される立場にありました。
だからこそ前田家は
武ではなく文化に力を注ぎ、
工芸や美術を育てることで
加賀ならではの豊かさを
形にしていったのかもしれません。
花紫でふれた器やしつらえにも、
そんな土地の美意識が
今も息づいているように感じました。
その他、東京から北陸新幹線かがやきの
グランクラスで加賀温泉駅までやってきましたので、
花紫のアクセスについても
別記事でご紹介します。
読んでいただき
ありがとうございます。
花紫で、加賀の美意識にふれる滞在
をしてみたい方は、こちらから。

